「エンディングノート」家族への伝言生前に準備 

来るべく「死」に向けた生前準備。就活、婚活などにちなんで、「終活」という言い方も生まれるほど、高齢者の関心は高い。手始めにできるのが、家族への伝言や希望する葬儀の形などを記す「エンディングノート」。遺言書との違いや書き込む内容について、取材した。(黒川裕生)

 葬儀会社クレリシステム(尼崎市)は2004年から、オリジナルのエンディングノートを、葬儀の生前契約者に配っている。友人の住所録や訃報の連絡リスト、加入している保険などの情報とともに、「葬儀でしてほしいこと、してほしくないこと」「お墓についてすでに決めていること」なども記入する。

 「相続などの権利関係を明確にしておく遺言書と違って、エンディングノートには法的な縛りがありません。あくまでも『当人の希望』です」と同社の総合企画チーフプロデューサー高嶋一裕さん(58)。「核家族化が進み、親の交友関係などがあまり知られていない。そのため、いざというときに誰に連絡すべきか分からないケースが多い。ノートはこうした遺族の負担を減らすことができます」

 エンディングノートは葬儀という狭い用途に収まらない。同社の場合、記入者がこれまでの履歴をたどるとともに、「私の人生を変えた言葉・支えてくれた言葉」を記す欄が設けられ、人生を振り返られるようになっている。

 同社アドバイザーの泰井綏子(やすこ)さん(72)は「書いているうちにやり残したことも明確になり、これからどう生きるかを見つめ直すきっかけになります」と話す。

 泰井さんが重視するのが、認知症や寝たきりなどで意思表示が難しくなった場合に備え、医療や介護の希望を明らかにしておくページだ。「延命治療の選択をめぐって、家族が苦しまないようにできるだけ思いを記してほしい」

 忘れてはいけないのがノートの保管場所。身近な人にきちんと伝えておこう。

 同社TEL06・6432・7763

http://www.kobe-np.co.jp/news/kurashi/0004523615.shtml