葬儀を思い通りにするための「6つの心得」

 従来、葬儀は、華美な装飾の祭壇、会葬者への忙しい対応、多大な葬儀費用…というのが一般的であった。しかし昨今では、家族葬、火葬式といった規模の小さい葬儀が主流となりつつある。

 「家族葬」とは、親族を中心に、亡くなった人を本当に偲ぶ人たちだけで通夜と告別式を行うもの。料理や香典返礼品などにかかる支出が少ないことも、人気が高まっている理由の1つだ。

 ただしデメリットもある。葬儀後、故人と縁のあった人が次から次へと弔問に訪れ、全く気が休まらない、ということもある。

 「火葬式(直葬)」は、通夜と告別式を行わず、火葬だけを行う式をいう。総費用は20万〜30万円が一般的な相場だ。費用面での負担をかなり抑えられるという理由で選択する人が最近増えてきた。

 ただし、菩提寺がある場合、事前に住職へ「なぜ火葬式にするのか」意向を伝えておこう。怠ると先祖代々の墓へ納骨させてもらえないトラブルに発展することがあり得る。

失敗しない葬儀社選びのコツ

 葬儀社は慎重に検討したい。もし、あなたの入った柩が足であしらわれたら? 筆者が勤めるライフデザイン研究所の相談員が、都内の某火葬場の安置施設の裏側で、実際にこうした光景を見てギョッとしたという。

 葬儀費用の見せ方には落とし穴がある。例えば「今、入会すると、この白木祭壇が50%OFF」と極端な割引をうたい、“お得である”ことをアピールしているところがある。白木の祭壇は基本的に使い回しをする。葬儀社側からすれば、減価償却さえ済んでしまえば、価格設定は何とでもなる。極端な割引率は、顧客獲得作戦の1つだ。

 葬儀社がお寺を紹介してくれるケースがある。菩提寺が遠方、あるいは、お寺とのつき合いがない場合だ。この場合、お布施の数十%(ひどいところだと6割近く)が僧侶から葬儀社へキックバックされることがある。キックバック欲しさに、菩提寺があるにもかかわらず、強引に紹介することも。

 後悔をしないために、きちんと下調べをし、次に挙げる6つに注意しよう。

心得1 死亡診断書の原本の取り扱いに注意せよ!

 死亡診断書は、葬儀を依頼すると決めた葬儀社にのみ原本を手渡すように。死亡診断書は、後に続く手続きの起点になっている。あなたが亡くなった後、役所へ死亡届を出すために、病院が発行する「死亡診断書」が必要になる。死亡届を出すと、役所が引き換えに火葬許可証を発行する。火葬を終えると、火葬場が埋葬許可証を発行する。墓地に埋葬する時に、これを提出する。

 このため葬儀社の中には「死亡診断書を手にしたら、葬儀の仕事を受注したのと同じ。できるだけ預かるように」と新人教育しているところもある。死亡診断書はまるで、人質のような存在なのだ。複数の葬儀社を比較したいと思っても、安易に死亡届を手渡してしまうと、なかなか返却してもらえないことがある。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20110912/222604/?ST=social&rt=nocnt