グリーフケアで寄り添う人材育成へ 京で協会設立

 最愛の人を亡くした悲嘆(グリーフ)に寄り添える人材を育てようと「京都グリーフケア協会」が、京都市下京区の町家を拠点に発足した。医師や大学教員らに加え、遺族会の代表も参加、葬儀従事者と看護師向けの実践講座を17日から始める。遺族向けのカウンセリングも行い、「悲嘆の受け皿づくり」を目指す。

 和歌山県で葬儀会社を営む上野山栄作さん(49)が中心となり、3年前から準備を進めてきた。悲しみの現場に接する中で「遺族の目線でグリーフケアをきちんと学ぶ場を設けたい」との思いを抱いたという。病院での死別後、遺族が最初に接する看護師の重要性にも気づき、両職種を対象とした講座を用意した。

 協会事務所は鴨川に面した町家を改装。個別カウンセリングの場ともなるため、大阪ではなく京都で、四季を感じられる落ち着いた立地を選んだ。関連書籍や論文をそろえた図書室も設けた。

 講師は、グリーフケアに力を入れている淀川キリスト教病院大阪市)の医師や大学教授、精神保健福祉士ら9人。NPO法人「SIDS(乳幼児突然死症候群)家族の会」の田上克男近畿支部代表や、こども遺族会「小さないのち」の坂下裕子代表も賛同した。

 講座は、葬儀従事者向けが先行、看護師向けは11月14日から(各6回)。病気や事故、災害による死別を想定し、遺族の思いや傾聴などをテーマに、講師と少人数の受講生が現場での実践や課題を具体的に挙げながら学ぶ。

 理事長の上野山さんは「葬儀や医療従事者の対応は、遺族が悲嘆を乗り越えていくのに大きな影響を与える。悲しみを抱える人たちを支える活動に、こつこつ取り組んでいきたい」と話す。

 問い合わせは同協会TEL075(741)7114。

http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20111012000037