葬儀費用詐欺、あす判決 診断書偽造し損失穴埋め / 青森

 生きている人の死亡診断書を偽造し、提携先の福岡市の葬儀共済会社(当時)から金をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた青森県田舎館村、元葬儀社社長原子正則被告(61)の判決が19日、青森地裁で言い渡される。被告は共済会社の規定で新規入会できない75歳以上を共済会員にし、だまし取った金で、その会員の葬儀費用を穴埋めしたとされる。検察側は懲役4年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求めている。

 起訴状などによると、原子被告は2004年10月〜08年1月、共済会社に会員計31人分の偽の死亡診断書などを提出、同社から葬儀費用計1600万円をだまし取ったとされる。共済会社は会員が死亡した場合、提携先の葬儀社に対し、会員の掛け金に応じて50万〜100万円の葬儀費用を支払うシステムだった。

 被告は公判で、起訴内容をほぼ認めた。従業員に指示し、医師の筆跡をまねさせて診断書を偽造したという。
 検察側の論告などによると、原子被告は1996年に葬儀業に参入し、97年に共済会社と業務提携した。黒石市に2004年、葬儀場を新築して間もなく、別の業者が近くに葬儀場を建設。焦った原子被告は、75歳以上の人の年齢を偽って新規に入会させるようになった。

 こうした会員の一人が入会直後に病気で死亡。規定違反の発覚を恐れた原子被告は、共済会社に死亡の事実を知らせず、自社負担で葬儀を行った。この損失の穴埋めに思い付いたのが、共済金の不正請求。規定違反の会員が亡くなるたび、別の会員の死亡診断書を偽造し、共済会社に送ることを繰り返したという。

 青森県内のある葬儀社は「高齢化で葬祭業は活況と見られやすいが、競争は激しく利益の確保は難しいのが実情だ」と話す。原子被告は公判で「他社に客を奪われるのが怖かった」と動機を供述した。

 弁護側は、執行猶予を求める理由として「私腹を肥やしたわけではない」と主張している。

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/12/20111218t23009.htm