独協医大が学内に墓地建設 献体者を埋葬

 献体後に遺骨の返還を希望しない献体登録者や遺族らのために、獨協医大は13日までに大学構内に墓地を新設した。家族関係の希薄化や葬儀費用などの事情から遺体・遺骨の引き受けを目的に献体を申し込む問題が全国的に起きる中、献体から埋葬まで大学内で完結させる異例の取り組みとなる。同医大献体事務室は「医療への貢献という趣旨を理解していただいた方に対する埋葬方法の一つの提案」と説明している。大学内に墓地を新設するのは全国でも初めてとみられる。

 同事務室などによると、解剖実習で献体を受け付けている大学では遺骨を遺族に返還しない場合、骨壺を一時的に安置する納骨堂に収めるのが一般的。一部の大学では戦前からの慣習で墓地も残っているとされるが、獨協医大は既存の納骨堂のスペースの問題もあり、2010年11月に壬生町から墓地の新設許可を得た。

 完成した墓地は高さ約3メートルの鉄骨平屋の建物。内部に地下約7メートルに達する鉄筋コンクリート製の管を納骨口として2基設け、そこから遺骨を収める仕組みになっている。同医大は今年5月に着工し、今秋から埋葬を始めている。

 献体をめぐっては「家族に迷惑をかけたくない」「(遺族に)葬儀費用を負担させたくない」などの理由で申し込む事例が各地で問題となっている。同事務室にも同様の申し込みがあるが、「献体の趣旨を理解いただけない場合は原則断っている」という。

 一方、夫婦で献体を希望したり、遺族が若く埋葬場所の判断がつかないケースなどで墓地の利用を希望すれば、遺骨を受け入れるという。

 同事務室室長の松野健二郎教授(解剖学)は「日本人の感覚からすれば土に帰りたいという方が多い。大学への埋葬という考え方もあっていいのでは」と提案している。

http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20111213/676986