香典返し 市民団体へ / 高知

 ボランティアや市民活動を支援するNPO法人NPO高知市民会議」(高知市)と寺村葬儀社(香美市)が、会葬者への香典返しの代わりに市民活動をしている団体に寄付する「天国からの 寄付ぎふと」を提案している。これまでに2件の利用があり、「故人の歴史と遺志を生かす、お返しのあり方の一つ」と利用を呼びかけている。

 寄付先は、高知市民会議が事前に選考委員会で会員団体から選ぶ。寺村葬儀社は遺族に香典返しのメニューの一つとして、寄付先に選ばれた団体の紹介資料を添えて「天国からの 寄付ぎふと」を提案する。採用した遺族は寄付する団体と額を決め、寄付金は高知市民会議から各団体に配分される。香典を出した会葬者にはあいさつ状と寄付先の団体の資料、遺族には寄付先の団体の資料と礼状が届く仕組みだ。

 今年度は高知市民会議のほか「NPO法人土佐の森・救援隊」、「NPO法人地域サポートの会さわやか高知」、「NPO法人高知こどもの図書館」など5団体が寄付先になっている。利用が広がれば、高知市民会議の会員以外にも寄付先を広げていく方針だ。

 提案した高知市民会議事務局長の畠中洋行さん(59)は、本好きだった父親が亡くなった時、香典の一部を高知こどもの図書館に寄付した。一昨年に親しかった人が亡くなった時に葬儀の後に届いたカタログを見て、選択肢の一つに「社会への寄付」の仕組みを加えられないかと考えた。1年ほど前に提案すると、寺村葬儀社が「企業の社会貢献にもなる」と賛同した。

 70歳の夫を7月にがんで亡くした高知市内の女性(70)は、寺村葬儀社から寄付ぎふとを提案され、「主人も喜んでくれるだろう」と5万円の寄付を決めた。県外出身だが高知が大好きで、退職後は高知市に定住。「在宅医療などで市にも大変お世話になった。何かお返しさせてもらわないといけないね」と以前から夫妻で話し合っていた。女性は「気楽に寄付ができ、故人の遺志も生かせる。こういう仕組みはいいと思う」と話した。

 畠中さんはNPOの活動資金を広く募るため、香典返しのほかにも様々な「寄付ぎふとプロジェクト」も企画中で、まずは協賛して寄付メニューを出してもらえる飲食店を募っている。問い合わせは高知市民会議(088・820・1540)へ。(前田智)


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