土地不足の香港、遺灰の安置場所めぐり怪しげなビジネスも

(CNN) 人口密度が高く、土地不足が深刻化する香港では、死者の遺灰の安置場所も簡単には確保できない。違法の疑いがある民間の業者も登場し、大きな利益をあげているようだ。

公立の葬儀場などが集まるホンハム地区で、葬儀用品の店を経営するユー・イン・ホーさん。店内には副葬品として焼却するためのさまざまな模型が並ぶ。家や携帯電話、iPad(アイパッド)や料理の盛り合わせまで、すべて紙で作られている。故人にあの世で使ってもらおうと大量の副葬品を用意するのが、ここの習わしだ。

香港の地価が高騰し、パンク状態の墓地が増えるなか、住宅地の真ん中に納骨堂を建設する怪しげな民間業者を「責める気にはなれない」と、ユーさんは語る。「人が死ななくなることはないし、遺灰はどこかに安置する必要がある。十分な場所を提供できない当局に大きな責任がある」という。

当局は今年9月、民間業者57件のリストを公表した。合法的な業者と無認可の業者を区別し、法の網をかいくぐって営業しているケースもあると指摘。納骨堂などを住宅地に建てることは禁止されていると強調する。

当局の統計によると、香港で昨年1年間に死亡した人の数は4万2200人。住民の高齢化にともない、年間の死者は今後さらに増加することが予想されるが、遺灰の行き先は伝統文化と土地問題、企業の思惑が絡み合う複雑な問題だ。

中国古来の土葬を希望する場合は、公立墓地の順番待ちが4年8カ月にも及ぶという。火葬した場合、民間の納骨堂を確保する費用は最大約20万香港ドル(約200万円)。遺灰をまく方式には抵抗が強く、年間の火葬件数のわずか5%にすぎない。

当局は離島に大規模な納骨堂を建設する案や、日本から全自動式納骨堂の技術を導入する案の検討を進めている。だが新たに葬儀関連の施設が建つと周辺の地価が下がるという問題もあり、住民からの反対運動が避けられない。最近ではマカオやシンセン、フィリピンなどに納骨の場所を求める動きも出ているという。

http://www.cnn.co.jp/fringe/30004616-2.html