最期に備え 記したい…

エンディングノートに関心■

 人生の終わりに備え、自分の希望を書いておく「エンディングノート」が関心を集めている。元気なうちに残りの人生を見つめることで、前向きな生き方につながるようだ。11月15日は「いい遺言の日」――。

―もしもの時の助けに―

 「お葬式は私らしく」。京丹後市の女性(67)は2年前、そう思ってエンディングノートを書き始めた。ページを開いてみると、その前に考えておくべきことが多いと気づいた。

 例えば、介護が必要になった時にどうするか。夫(73)と2人暮らし。子ども2人は独立して大阪に住む。もしも夫に先立たれたら、介護のために子どもを呼ぶのは忍びない。《私の残したお金の範囲で、施設に入れるか介護ヘルパーをつけてほしい》。書き直せるよう、ノートには鉛筆でそうつづった。

 「気持ちを記しておけば、もしものときの助けになるはず」。70歳までには書き終えようと思う。

―お手軽〜本格派まで―

 大垣書店四条店(中京区)には、15種類ほどのエンディングノートが並ぶ。人生を生い立ちから振り返り、家族へのメッセージも書き残せる。手軽に書けそうな薄いものから遺言書の書き方を説明する本格的なものまであり、価格は1千〜3千円ほどだ。

 年末が近づくと、新年のスケジュール帳を買うついでに手に取る人が増えるという。「何を書くかは、ぼんやりしたイメージの方がほとんど。ノートを開いてみて、好みのものを選んでいかれます」。店長の赤井良隆さんは言う。

―講習会でプロも活用―

 遺言書の書き方をアドバイスするプロも、このノートを使い始めている。

 中京区の税理士事務所は約5年前から、ノートの書き方講習会を無料で開く。煩雑で難しい遺産整理や相続手続きを知るきっかけにしてもらおうと考えた。「明るい気持ちで、これからのことを整理する覚悟ができた」。参加者の感想文にはそんな言葉が残る。担当者は「自分史を書くつもりで始めるのもいい」と話す。

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 京都弁護士会は15日午後2〜5時、「遺言・相続セミナー」を弁護士会館(中京区)で開く。遺言の作成に必要な法的知識を紹介し、1人20分程度の無料相談にも応じる。参加無料。問い合わせは弁護士会(075・231・2378、平日のみ)へ。

http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000001111140004